手作りというアバウト感。

いつからか、憧れたルアーフィッシングはレトロな雰囲気漂うものと、最新鋭の技術が詰まったスタイリッシュなものとに自分の中で区別する様になっていた。現行モデルのインジェクションルアーに最新技術のカーボンロッド、ベアリングに埋め尽くされた様なリール。時代とともに進化した釣りは、道具の進歩により届かなかったポイント、使えなかったサイズ感を卓越してきた。便利である。実に快適で優れている。がしかし、なぜだか天邪鬼が。どこからともなくやってくる。もっと不便で、もっと玩具の様な釣りに憧れていたではないか?と。

鱒釣りと鱸釣りを嗜む自分ではあるが、渓流の山女魚釣りに関してはスプーンとスピナー、適当なロッドとスピニングリールから始まった。ハマり込む内にリールはステラにまでなっていった。しかしその天邪鬼により、気付いた時にはカーディナルへと逆戻り。笑。自分が住む地域では渓流釣りはそう難しいものでは無く、走り回れば3桁なんて事もザラにある。より難しい事を求めるが故に、グラスロッドとオールドアブのアンバサダーにまで辿り着いたのだが、ここに来てどうせだったらと、ハンドメイドのミノーを作り始めたのが昨年。これほどまでに深みのある事とは思いもせず。自分の渓流釣りはみるみるうちに変化を遂げた。

考え方の一変。

ついこないだの1mを越える鱸を釣り上げてからもそうだが、釣りに対する考え方が徐々に変わってきている事は確かである。釣りたいと思う欲求の大きかったものから、遊びの気持ちの方が大きくなってき始めているのである。もちろん魚は釣りたい。しかしどう遊ぶか?と言う方に面白さを感じてきている。スタイルもそうであり、何でどう釣るか?もそうである。釣りとは、遊び方の提案なのかもしれない。今はそう思える。写真を撮る事もそうだし、動画を撮りためるのもそうだ。10代の頃にどハマりしたスケボーにも似ている部分である。

アバウトこその面白さ。

ここから書く事は賛否両論あると思う。考え方の違いがあるから仕方ない。そしてソレは尽きる事の無い議題だと思う。リールはシマノ派か?ダイワ派か?に似たような話だ。キッチリしたサイズ感とグラム数のプラグを投げ込んで釣る計算された釣りと、ハンドメイドのアバウトな感覚で五感で楽しむ様な釣り。相手は自然。確実なんて無い。どんなに計算してみても、流れは数値では出せない。流速、ヨレ、石や岩に当たる角度。その中で想像と妄想を照らし合わせながら投げ込む釣りこそ渓流釣りなのではないだろうか。今の所、渓流に関してだけだが、そういう楽しさを追求してみたいと思う様になってきた。

もしも、もしもこんなプラグがあったとして、もしもこんな雰囲気の釣りがあったとしたら。それは、最高なんじゃないか?と思える事をやってみたい。ソレは道具がとか、場所がとか、ロッドが、リールがと言う事では無く、あくまでも雰囲気の話。突き詰め過ぎないユルさの中にこそある楽しさ。

TOM CAT

“トムキャット” F-14戦闘機の愛称でもあり、ベレッタ社の小型拳銃の愛称でもあるその名前。プラグにつけるネーミングに戦闘機は抜群の相性であり、小型自動式拳銃の様な撃ち抜き感もまたその小粒なルアーには最適である。そして何よりも、雄ネコ。

渓流を駆け回り小場所を撃ちながら沢を登る釣り。小さなプラグをトゥイッチさせると、左右に回り込みながらチェイスしてくる様はまさに猫そのもの。トムキャットの華麗なステップで渓流の女王も翻弄されてしまう。

およそ5cmのトムキャットは、アップクロスからの速巻でも着水からの連続トゥイッチでも、その泳ぎがバランスを崩さないのが特徴。3gと軽量ながら渓流撃ちには抜群の打ち込み感。

誰にでもどこにでもとは言わないが、フローティングのバルサミノー好きには是非。

TOMCAT / RATAPLUG

size : 5cm 3g about

floating balsa

もうすぐである。