道具と釣果。

今回はリールの話し。

シーバス釣りをする上で、特にナイトゲームはリールの感度が気になる。気にならない人もいるかもしれないが、自分は気になる。特に夜は。暗闇で川の音と動物の声くらいしか無い中で、ひたすらにリーリングを続ける夜の鱸釣りは、やたら音への感覚が研ぎ澄まされる。

スピニングにしても、ベイトにしても巻き心地や、異音など。初めの頃は何が何だかわからないが、色々な道具を使い始めると益々気になる。がしかし、おそらくではあるがシーバスのナイトゲームが特にそういう釣りだと最近気がついた。笑。

ルアー釣りは子供の頃にバス釣りから始まったのだが、正直言ってそんな頃にそんな事を考えた記憶はあまり無い。渓流でもオールドタックルを使用したりもするが、使用感に関して不満は無い。なぜか?

“釣れるから”である。そう。シーバス釣りはそんなにポンポン簡単に安易とは釣らせて貰えない。沢山釣る人からすれば、???という話しだと思うが。釣れない上に、リーリングのスピードが遅い。所謂”デッドスロー”。このデッドスローは暗闇でやると、目をつぶってゆっくりリールを回している感覚と近い。

いくら完成度の高いリールであったとしても、このデッドスローは、なかなか難易度の高い完成度が求められる様に思う。逆に早く巻く事に関して言えば、ある一定の組み上げ完成度を越えていれば、おそらく違いはわかるはずが無い。早く巻く力が、小さな異音やほんの少しのガタを、押し殺しているからである。逆にデッドスローで回すと、その小さなガタは大きな変化として拾い上げられ、夜の暗闇でソレに気を取られると、もうその事しか考えなくなるのだ。

スピニングリールも、ベイトリールも様々な機種を使い魚とやりとりをしてきた、だけど結局満足のいくリールというのはこの世には存在しないという事にも気付かされた。はじめはイイが使っていくと、、、とかそういうレベルの問題では無いのだ。ナイトゲームで研ぎ澄まされた感覚に耐え得るリールは無いのだ。

要するに、釣れないからこんな事を考えるだけであって、釣れてるうちはリールに対して求める所は全く別の事になる。笑。

もともとオールドタックルが好きで、未だに時々使用しているので、ベイトリールに関してはメンテナンス道具が一式揃っている。オイルにグリス、細かな作業用の工具。弄るのが好きなのだ。がしかし、オールドというのが大前提であって、現行のリールは複雑そうと思う事から、あまり分解しない程度にしていた。だがやはり気になってしまい、ついにこないだ開けてしまったのだ。

1番恐れていたのは、ダイワさんの所のマグシールド。ハッキリ言ってコレがあるから触りたくなかったのだが、開けてしまったものはしょうがない。キッチリメンテナンスして組み直した。

思っていたほど複雑な要素もなく、TWSの仕組みに驚きとなるほどを覚え早速釣行に向かった。

この日はまぁまぁの流速の瀬の中から元気な個体が、カゲロウ155Fに飛び出してくれて、気持ちの良い釣りが出来た。

なのだが、渓流のベイトリールの感覚で組み上げた事もあり、スプールのベアリングをドライにしてしまった事、ドラグがカーボンワッシャーであった為、そちらもドライにしてしまったのが仇となって、キャスト時のベアリング鳴きと、ファイトの時のドラグのきき方に不満を抱いて終了となった。

急いで帰り、再び全てを分解。ベアリングをオイルにつけて、ドラグを適度にグリスアップし、丁寧に組み上げ出来る限りガタの無いように調整。ひたすらにハンドルをグルグルと回し、オイルとグリスを馴染ませた。

数日後チームの先輩方に誘われてオフショアへ。せっかくなので、組み上げたリールの動作確認をと釣行へ持ち込んでみた。

結果的には、大満足。異音も気にならず、魚の引きに対してドラグのききかたも申し分無い。むしろ、今まで少し気になっていたガタも、魚とやりとりしながら何度も確認したが、よくわからなかった。笑。

つまり、魚を釣る為の道具として考えた時、リールは巻き上げる仕事をしてくれたらそれでイイのだ。多少の巻き心地はあるが、ダイレクトリールなのだから、引っ張られながら巻けば、ギア感はどんな上位機種だったとしても必ず出てくる。

そんな事を考えながら、益々今自分がやっている釣りに酔いしれるのである。