遠征から帰ってきてから、鱸釣りに対する思考が少し変わった。
この事はfimoブログにも書いたのだが、内面的な部分は書かなかったのでこちらにも書き残す事とする。
人間とは実にわかりやすく、影響されやすい生き物であると思う。少し違う空気を吸って吐き出せば、まるで自分が変わったかのように感じてしまうのだから。四国遠征に出かけ戻ってくると色々試したくなり、釣りに関してやってみたい事が増えた。そしてまるでそれが功を奏したように釣果に繋がる。”勘違い”かもしれない。がしかし、それでいいのだと思う。腕が上がった?とは思えない。ただ目の前の経験値は確実に増えている。
プロシーバスアングラーの”濱本国彦”さん。この男は本当に偉大だ。今回の四国遠征の自分の目的はその人にお礼を言う為の旅でもあった。
個人的に思う事は、勝手だが雑誌や動画から学ばせて頂いた事が多い。”ドリフトの釣り”や”小場所の釣り”はその殆どを見よう見まねでやってきた。濱さんの影響はかなり大きかった。
地に足が着いていると言う表現は少し違うかもしれないが、多くいるプロのアングラーの中でも地方特化型というか、その背中には妙に親近感がわく印象だ。
”お礼”というのは他でも無く、メーターシーバスへの事で。実を言うと私自身が釣り上げた108cmの大鱸を釣ったプラグは、”濱本国彦”さんの作った”ラムタラジャイアント”だった。そして、そのラムタラジャイアントは”濱さん”に頂いたものでもある。
かなり前にfimoブログを通して、SUNLINEのPEラインのモニターをやった事がある。それは”濱本国彦”氏が手がけた6本よりのPEライン”キャリアハイ6”のモニタリングの時だ。その時は全くこんな事になるとは思いもしなかったが、今思い返せばその時から既に繋がっていたのかもしれない。
その後、Instagramを通して”濱さん”が自身の車のタイヤを探しているのを目にしたとき、本職であるタイヤ屋の名に懸けて懸命に手配させてもらった。そのお礼にと頂いた荷物の中に”ラムタラジャイアント”は入っていたものである。そしてそのプラグが連れてきた大鱸。こんな事があれば誰だって勘違いしてしまう。”運命”や”奇跡”と言う言葉をだ。

ただ私のシーバス釣りは、そこがゴールでは無かったのが救いだったのかもしれない。始まりでも無ければ、ゴールでも無い。目標ではあったので”感謝”する事しかできなかった。その思いを伝えるべく四国入りをしたのだが、神様とは本当に”いたずら”なもので、人生とは思うようにいかないという事を思い知らされるハメにあった。
今回私達を乗せたフェリーが四国に着くちょうどその頃。”濱さん”のお父さんが亡くなられた。これは誰にも予想する事のできない事態であった事は間違いなかった。我々は今回は”濱さん”に会う事は断念し、プランを練り直す為少し考えているときだった。
そんなとき一本の電話が鳴った。「うちにおいで」そう言って頂き、”濱さん”はご自宅に招いてくれた。
私自身も父は既に他界しているが、身内が亡くなった時の心境は複雑である事は知っているし、そんな中自宅に招き来客を迎える事ができるのは本当に凄い事だと感じた。そんな時でも”濱さん”はいつも通りのフィッシングショーやイベントでお会いしたときと変わらないテンションで淡々と話しをしてくれた。聞きたい事は山ほど用意していたが、自分の中でまとめて重点的に聞いてみた。そしてその回答を自分に深く刻んだ。世間話から釣りの事、短い時間だったが、我々と濱さんしかいないその空間は自分にとっては特別なものだった。
また必ず会おうと約束し、手土産を置き四国の旅はそこからスタートしたのだった。そして沢山の魚を釣らせて貰って、大満足の四国だったのだが、何から何まで”濱さん”が用意してくれていたプランだった。ジュース一本すら買わせてもらえないようなそんな内容だった。その全てを手配してくれていたのだから。
正直度肝を抜かれた。プロってそういう事なのかなと感じさせられたが、のちに人の繋がりの大切さを思い知らされた旅になった。
置いていった手土産の中に”PAINT.EYEZ.POSSE.”のTシャツを忍ばせていた。これはこのブログの方では何度か書いてきたが、要はペイントアイのプラグを使う愛好家の為のTシャツのようなもので、私自身ペイントアイのルアーが大好きで、インスタのタグにも”ペイントアイ大好き倶楽部”なんてものを打ってきた。バスをやってきた人間であればそんな事は気にも止めないかもしれないが、”ザウルス”や”タックルハウス”、”ポジドライブガレージ”なんかに敬意を払った意味でもある。”濱さん”がバスもやる事も知っていたし”ザウルス”のプラグについて書いていたりなんかも知っていたので、何の説明も無く持っていった荷物の中に勝手にこっそりと入れておいたのだ。

言葉は必要無かったのだと良く分かった。こちらからは何も伝えていないし、何も頼んでいない。
”濱さん”とはそんな人なのだ。
“釣り”は魚を釣るだけでは無い。釣りを通して多くの出会いがある。巡り合わせとは実に不思議で奇妙だ。
水辺に立ち色々な想いを込めてプラグをキャストするわけだが、そのプラグは時にとんでも無い出会いをもつれてくるという事だ。
思い立ったが吉日。善は急げ。
込めた想いは、必ず届く。投げ続ければの話しだ。